真鍮の止まり木

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学生時代の友人と会って話をしてきました

 一昨日、友だちと会っていろんな話をしてきました。お互いの近況であったり、趣味のことであったり、とにかく、多くのことを互いに話して聞かせ合いました。

 長い長い会話のなかで、私たちは過去の話をたくさんしました。これからの話は、全体の割合からしてみれば、それほど話さなかったと思います。それは、お互いがお互いの過去を全く知らなかったからです。何をしていたのか、何が身の回りで起きたのか。私たちには知りようのないことでした。だから、たくさん話をしました。お互いの知らない過去を埋めるために、私たちは飽きることなく話し続けました。

 長く多量な話題のうちの一つとして、私は、人生で何度目かの「極めて私的な話」を彼女にしました。「極めて私的な話」とはつまり、私のセクシュアリティについて、性的指向について、私の趣味についてです。それらは全て私が大切に守ってきたものでした。彼女が受け止めてくれるのか、実際のところ私にはわかりませんでしたが、それでも私は彼女に話しました。不安は、少しもありませんでした。だって、伝えてもきっと「大丈夫」だと思っていたから。彼女なら「大丈夫」だと、私は話し出すその直前まで、そして話が終わってからも、ずっと思っていたのです。だから私は嘘偽りなく、自分の話をしました。

 話を聞いた彼女の反応は、実に「普通」でした。何の驚きもなく、何の動揺もないように、私には見えました。それを見とめてから、やはり私の判断は間違っていなかったのだと思いました。

 受け止めて欲しい、と思ったわけではありませんでした。ただ、「否定しないで欲しい、知ったかぶりをして私のことをわかろうとしないで欲しい」とだけ、私は望んでいました。かくして、私の望みはその通りになりました。彼女はいつも通りでした。今まで会って話をしてきたときと変わらない様子で、私の話に耳を傾けてくれました。それが私には、すごく、すごく嬉しいことでした。

 勿論、私は彼女がそういう人間ではないと確信していたし、信用もしていました。だから、彼女が私の話に過剰な反応をしなかったことに対しては、それほど驚きませんでした。でも、自分の話をして、改めて彼女が「そういう人ではない」と確認できたことで、ほっとしたし、安心した部分はきっとありました。ああ、彼女が好きだなぁと私はしみじみ思いました。

 またいつか――それはきっと遠くはないのだと思いますが――彼女に会える日が楽しみで仕方ありません。いろんな話をしたいと思います。