真鍮の止まり木

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詩(2020年4月16日)

「ぱちぱち」

赤色、黄色、緑色、さまざまな発露、でこぼこの拳。
みんな、みんな、みんな、みんな。
二人でつくった玩具の家があって、ここが帰る場所なんだよと、毎日唱えてやり過ごしていた。
生きてくためだった。そのためだった。
オレンジを塗って、ネイビーを飾って、わたしたちの場所を磨いてきた。
両手を広げてみたら、十本指の先に、小人が立っていた。
おまえも手にしている。
連れて行かれるべき民。
ぐるぐるとまわり、まわる、わたし。
ホームグラウンド。
誰も置いていかない、誰も置いていかない。
ここは船じゃない、ここは仕事場じゃない。
ここはホーム。
おまえも、わたしも、まだらも、一緒になって暮らしている。
網を握れ。誰も彼も連れて行くのだと誓え。
この聖堂で誓え。

 


「うねり」

聞け、大海原の産声を。
お前が擦り潰そうとしたひとつひとつの粒が、今、潮流をかたちづくっていく。
見ろ、伽藍堂の寺院を。
お前の寒々としたまじないが、空疎に響きわたっている。
感じろ、地中深くから発する大地の振動を。
決して許さないと、黒き双眸が睨んでいる。
こんな強さが、いつか大きな鏃になると信じている。
お前にもきっと、染み込ませてやる。